商品売買の論点
1 分記法と三分法
2 仕入諸掛と売上諸掛
3 返品
4 クレジット売掛金
1 分記法と三分法
商品売買という取引を行ったときの仕訳の方法は、分記法と三分法があります。
分記法
売上の仕訳のときにもうけ(利益)を書く方法が分記法
① 商品を仕入たときの仕訳
100円の商品を仕入れて現金で支払った
商品 100 / 現金 100
② ①で仕入れた商品を売ったときの仕訳
仕入原価100円の商品を売価150円で売って現金で受け取った
現金 150 / 商品 100
商品売買益 50
分記法は、取引の都度、もうけ(利益)を出す方法をいいます。
三分法
仕入、売上、繰越商品の3つの勘定科目をつかって処理する方法を三分法といいます。
仕入と売上を整理
仕入とは、販売を目的に商品を購入することをいいます。「仕入」は、費用の勘定科目で、ホームポジションは費用なので、左(借方)です。
売上とは、商品を売った代金をいいます。「売上」は、収益の勘定科目で、ホームポジションは収益なので、右(貸方)です。
買掛金と売掛金を整理
簿記では、後払いのことを「掛け(かけ)」といいます
買掛金とは、販売目的の商品を後払いした代金をいいます。味噌は、販売目的。販売目的でない後払いは違う勘定科目を使用します。買掛金は、負債の勘定科目で、ホームポジションは負債なので、右(貸方)です。
売掛金とは、商品代金を後払いされる代金をいいます。味噌は、商品です。売掛金は、資産の勘定科目で、ホームポジションは資産なので、左(借方)です。
例題
1 100円の商品を仕入れ、代金は後払いとした。仕訳は?
(解法のコツ)
費用である仕入が増えて、負債買掛金も増えた(増えたのでホームポジションのまま)
(仕訳)
仕入 100 / 買掛金 100
2 100円の商品が売れて、代金は掛けとなった。
(解法のコツ)
収益である売上が増えて、資産である売掛金が増えた
(仕訳)
売掛金 100 / 売上 100
2 仕入諸掛と売上諸掛
商品の売買に伴って発生する送料や運賃、関税などの諸経費を「諸掛り」(付随費用)といいます。
諸掛り(付随費用)には、仕入先が諸掛りを負担する「仕入諸掛」と売主が負担する「売上諸掛」があります。
仕入諸掛
取得のためにかかった諸費用は取得原価に加算するという簿記の基本的な考え方により、仕入側が負担(当社負担という)するときは、仕入の金額に諸経費を加算して仕訳します。
【仕訳例】
1,000円の商品を掛けで仕入れ、送料100円は現金で支払った
仕入 1100 / 買掛金 1000
現金 100
売主が負担する場合の仕訳には、3つ考えられます。
1 売主が直接運賃を支払ってくれる場合
この場合は、仕訳なし
2 相手方負担だけど、付随費用を立て替えた場合
この場合、資産の勘定科目である「立替金」を使います。
仕入 1000 / 現金 1100
立替金 100
3 相手方負担なので、買掛金と相殺した。
仕入 1000 / 買掛金 900
現金 100
売上諸掛
売上諸掛は、費用の勘定科目である「発送費」で処理する。
売上という商品売買と運送契約とは別物と考える。
3 返品
返品とは、品違いなどで、商品を返すことをいいます。売ったけど返品された、仕入れたけど返品した。
仕訳は、売り上げた、仕入れたときに行った仕訳の逆仕訳です。
【例題】
1,000円の商品を売上、現金で受け取った。
(仕訳)
現金 1,000 / 売上 1,000
上記取引が、品違いにより返品となり、現金を返した。
(仕訳)・・逆仕訳です
売上 1,000 / 現金 1,000
4 クレジット売掛金
商品代金をクレジットの支払いで行った場合の仕訳です。
使用する勘定科目は、クレジットによる後払いなので、クレジット売掛金とクレジット会社に支払う手数料が発生するので、支払手数料という勘定科目を使用します。
仕訳の方法は、売上のうちクレジット会社に支払う支払手数料を差し引いた分がクレジット売掛金となります。
【例題】
1,000円の商品を売上、クレジットカードで決済した。なお、クレジット会社への手数料50円は、売上時に計上する
(仕訳)
クレジット売掛金 950 / 売上 1,000
支払手数料 50